オートチューンのしくみ
人間が歌うボーカルメロディは多少なりとも正確な音程から外れている場合がほとんどですが、

それを指定したスケールの音から外れないよう、強制的に補正するのがオートチューンです。
またピッチを調整するだけでなく「フォルマント」(声のキャラクター)にも影響するため、いわゆる「ケロケロボイス」を作ることが可能です。
オートチューンなし
オートチューンあり
そのため単なるピッチ補正というよりは、オートチューン独特の質感を取り入れる目的で使われることが多いです。
加えて、多くのオートチューンは「リアルタイム補正」が可能なため、オートチューンをかけながらライブやレコーディングを行うことができます。

ヒップホップの現場では後ろのDJがPCでオートチューンを操作していることが多いです。
主にオートチューンが使われているジャンルはクラブミュージック系、ヒップホップ、洋楽のポップスなどがあげられます。
ヒップホップの中でもトラップといわれるジャンル、特に電子音との相性が抜群。
ハイパーポップ系もオートチューンの音を生かしたものが多いので間違いないでしょう。
ダンスミュージック系は一見オートチューン感が薄いように感じる曲でも、ちゃんとオートチューンがかかっていることが多いです。
無料でオートチューンをかける方法
MAutoPitch
Media Productionの提供する「MAutoPitch」は無料で使えるオートチューンプラグインです。
基本的なオートチューンの効果は得られると思うので、とりあえずオートチューンを使ってみたいという方はいかがでしょうか。
Pitch Correct(Cubase付属)
DAWでCubaseを使っている方は付属の「Pitch Correct」でオートチューン的なエフェクトをかけることができます。
リアルタイムピッチ補正プラグインですがフォルマント調整もできるのでケロケロボイスも作れます。
個人的には音が機械っぽすぎるのでオートチューンというよりロボットボイス系エフェクトに近いと思っています。
おすすめのオートチューン用プラグイン
Antares Auto-Tune
名前の通りオートチューンの本家本元である「Antares」
国内外問わず大物ラッパーやアーティストに使用されている王道のオートチューンです。
筆者もAntaresのAuto-Tuneを所持していますが、これぞオートチューンという音がして最高です。
単なるピッチ調整をしたいというよりは、オートチューンの音を前面に押し出したいという人におすすめですね。
Antaresの製品は使用目的に合わせてグレードを選べるので簡単に紹介していきます。
Access10
・いちばんお手頃なグレード、たまに他製品に付属するので無料でGETできる。
・自動でオートチューンがかかるのでほぼ挿すだけで使える、初心者にもおすすめ。
・動作がかなり軽い

EFX+10
・オートチューン機能に加えて13種類のエフェクトや細かい設定が可能
・プリセットも豊富なためエフェクト関係に詳しくなくても安心

Artist
・「低レイテンシーモード」(遅延短縮)搭載のためライブステージでのパフォーマンス向け
・楽曲のスケールを自動判別、ビブラートコントロール、リアルタイムMIDIコントロールなども可能

Pro11
・最上位エディション。他のグレードとの大きな違いは「グラフモード」でピッチ補正を手動で行うことができる点
・4つのレイヤーを追加可能なハーモニー機能が搭載
・動作に関しては重いとの意見も。PCのスペックが要求される本格的な音源制作向け

さらにこれら全てのグレードが使い放題になる年額プランも用意されています。

AutoTune Unlimited (Annual Subscription) + FREE Auto-Key 2
定価:¥55,533→¥23,868 (2025年7月現在)
Waves Tune Real-Time
エフェクトプラグインで有名なWavesの提供する「Waves Tune Real-Time」は汎用性の高さが魅力です。
音のレンジ指定、フォルマント調整、MIDI入力などライブにも音源制作にも使える機能が備わっています。
Antaresはオートチューンの王道なだけあってケロケロ感MAXですが、Wavesに関してはピッチ補正目的としても使えそうなバランスの良さがあります。
個人的にWavesの注目ポイントは激安セールを頻繁に開催しているところです。
ここまで多くの機能が、セール時は数千円で手に入るのでかなりお得だと思います。

iZotope Nectar 4 Pitch
こちらはオートチューンというよりピッチ調整として扱われることが多いです。
iZotopeの「Nectar 4」の中に含まれているモジュールとして使うことができ、Nectar 4 Advancedのグレードではプラグイン形式で使用できます。
スケールの指定、ピッチ補正の強さに加え、フォルマントを変えることもできるのでオートチューン的なサウンドを作ることもできます。
そもそもNectar 4はAIがミックスを行ってくれるプラグインのため、ミックス初心者の方は持っておいて損はないでしょう。
実機のオートチューンエフェクター
これまではPC内で動かすオートチューンについて紹介しましたが、実機のオートチューン用エフェクターというものも存在します。
ギターなどを弾く方は馴染みがあるかもしれませんが、ライブステージなどで足元に置いて
ボタンを踏むとエフェクトがかかるという仕組みです。

このようなハード機器のメリットは接続が楽で、PCやその周辺機器が必要ないというところです。
さらに足元で自由にオートチューンのON/OFFができるので、MC中にオートチューンを切ったりするのも素早くできます。
その反面、曲が変わるたびにキーを自分で設定しなければいけませんし、PCで使うオートチューンほどの細かい設定はできません。
個人的には路上ライブとか軽くパフォーマンスをするときには便利そうだなと思っています。
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