小節とは
ヒップホップビートの構成を語るうえでよく使われる単位が「小節」の数です。
小節は拍子の数によって決まります。よく楽譜に書いてある何分の何拍子というやつです。

難しく聞こえるかもしれませんが、世の中のビートは”ほとんど”4分の4拍子なので「クリック音が4回鳴るごとに1小節」と覚えておけば大丈夫です。
ちなみにクリック音の速さはBPMで決まります。最近はBPMを計測したり、メトロノームを鳴らしたりできるアプリもあるので使ってみることをおすすめします。
楽曲を構成するパート
イントロ
イントロはご存じの通りボーカルが入っていない冒頭の部分です。
長さは大抵の場合4小節前後から8小節ほどが定番です。
ヴァース(Verse)
ヴァースは基本的に曲の中で一番長いパートになります。
一般的には16小節という長さをよく耳にすると思います。
歌モノで例えるとAメロとかBメロと言われる部分ですね。
場合によっては次のフックに繋げる4小節ほどの「プリフック」が追加される場合もあります。
フック(Hook)
フックはいわゆる「サビ」ですね。
一般的には8小節ほどの長さが多いです。曲の中では2回以上繰り返されることがほとんどです。
ブリッジ(Bridge)
ブリッジはいちばん定義が難しいのですが、歌モノで言うCメロとかギターソロに相当する部分だと思ってください。
フックと同じ長さが多く、8小節ほどが定番です。
本来ブリッジは歌モノのBメロにあたる部分だという意見もありますが、ヒップホップではラストフック前の変化パートを指す場合が多いです。
ヴァースからそのままフックにいくパターンも多いですし、このブリッジを設けるかどうかは結構自由だと思います。必ずしも必要なわけではありません。
アウトロ
アウトロはイントロと同じくヴォーカルなしのエンディングになります。
長さもイントロと同じ4小節前後から8小節ほどが定番でしょう。
ビートメイクにおける変化の与え方
ヒップホップビートはずっと同じ音が鳴っているわけではありません。先述したパートごとに変化を与えていくのが一般的です。
例えばヴァースでは808ベースをなくす、フックの前はドラムスをなくすなどの工夫で、どこからがフックなのかが分かりやすくなるかもしれません。
フックですべてのインストを鳴らすと考えて、そこから引き算方式で作っていくのが初心者のうちはおすすめです。
もちろん変化がありすぎるのは逆効果です。自然なビートの変化を身に着けるためには、既存の楽曲を聴きこんで研究するのがいいと思います。
自分のビートですが、シンプルな音の構成にしているので良ければ参考にしてみてください。
ヴァース部分でメロディを弱め、フック前にメロディが強まるとともにドラムスを抜いています。
アウトロ前の部分ではビート全体にフィルターをかけ、”そろそろラストだよ”感を演出するようにしてみました。
楽曲からみる具体例
Lil Uzi Vert – Chill Bae
イントロ16小節→フック16小節→ヴァース16小節→フック16小節→ヴァース16小節→フック16小節→アウトロ8小節
この曲はヴァースとフックがすべて16小節の繰り返しで構成されています。
シンプルな構成でも名曲を作れるということを証明してくれているのではないでしょうか。
加えてアウトロだけは8小節と短くして間延びしないようにもされています。
CENTRAL CEE FT. LIL BABY – BAND4BAND
イントロ8小節→ヴァース24小節→フック8小節→ヴァース24小節→フック16小節→アウトロ8小節
客演を入れて2人以上でラップを乗せる場合は、それぞれに同じ長さのヴァースを設けるケースがほとんどです。
さらにこの曲はラストのフックが繰り替えされています。印象に残るフックなので満足度が高いですね。
Travis Scott – FE!N ft. Playboi Carti
FE!Nはクラブに行ったらほぼ必ず耳にするヒット曲になりましたが、構成自体は結構複雑です。
(前半:Travis Scott)
イントロ6小節→プリフック8小節→フック8小節→ヴァース16小節→プリフック8小節→フック10小節
(後半:Playboi Carti)
間奏8小節→ヴァース16小節→フック6小節→ヴァース10小節→プリフック8小節→ブリッジ10小節→アウトロ4小節
まずフックの長さがそれぞれバラバラであるため飽きにくい仕様になっていると感じました。
そして「Oh my god」で始まるプリフックが盛り上げるためのいい材料になっています。
最後のCartiのプリフックでフックが来ると思わせて来ないのも面白いなと思いました。
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